インプラントと矯正治療、どちらを先に行うのが良い?
2024/7/12
「歯を失ってしまったけど、インプラントと矯正治療、どっちを優先すべき?」
「両方やりたいけど、同時にできるのかな?」
このような疑問を持っている方もいらっしゃるでしょう。
もちろんインプラントオフィス大通では、矯正治療も行っておりますので、このような患者さんのニーズにも対応が可能です。
一般的に言えば、インプラント治療は失われた歯を人工歯で補う治療、矯正治療は歯を動かして歯並びと噛み合わせを整える治療です。たしかに、どちらも見た目と歯の機能を取り戻すための治療ですが、性質は異っており、歯やお口の状態によっては両方を行わなければならない場合も考えられます。
もし、インプラント治療と矯正治療を希望したら、どちらの治療を先に進めるのでしょうか?そこで今回は、インプラント治療と矯正治療の特徴や違い、順序についてご紹介します。
インプラント治療と矯正治療の違い
インプラント治療と矯正治療、どちらを先にした方がいいのかを考えるために、まずはそれぞれどのような治療方法なのか、特徴や仕組みについて理解しておきましょう。
インプラント治療は失った歯の機能と見た目を回復する治療
インプラント治療は、歯を失った部分の顎の骨に人工歯根(インプラント)を埋め込み、その上に上部構造と呼ばれる人工の歯を装着する治療方法です。失った歯の機能と見た目の回復を目的としており、自分の歯のように噛めるのが最大のメリットです。
顎の骨に埋め込んだインプラントがしっかりと噛めるのは、コラムでよく解説している、チタンと骨が結合する性質を利用したオッセオインテグレーションによるものです。
インプラントと顎の骨が一体化することで、本物の歯のように安定して噛めるようになります。
矯正治療は歯を動かし、歯並びと噛み合わせを改善する治療
矯正治療はマルチブラケットやワイヤー、マウスピースといった矯正装置を装着し、理想的な位置に歯を動かす治療方法です。歯並びと噛み合わせの改善を目的としています。
顎の骨にしっかりと固定された歯がどうして動くのか、不思議に思う方もいるでしょう。矯正装置を装着すると歯に矯正力と呼ばれる力が加わり、歯が動く方向に圧迫力が、反対方向には引っ張る力が生じます。
圧迫力を受けた側では破骨細胞(はこつさいぼう)と呼ばれる細胞が生まれて顎の骨を溶かし、反対側では骨芽細胞(こつがさいぼう)という細胞が出てきて骨が作られます。
こうして動かしたい方向の骨が溶けて道を作り歯が動き、元のところに生じた隙間に新しい骨が作られることで歯が動くのです。矯正治療はこのようなサイクルを繰り返して、理想的な位置へと歯を動かしていきます。
インプラント治療と矯正治療、先にするならどっち?
結論から申し上げると、矯正治療を先に行うのが一般的です。その理由は以下のとおりです。
インプラントには歯根膜がない
天然歯とインプラントの大きな違いは、歯根膜(しこんまく)の有無です。歯根膜とは、歯根の周囲にある靭帯のような薄い組織のことで、歯を支えている歯槽骨(しそうこつ)につながっています。
歯根膜には圧力を感じるセンサーとしての役割と、噛んだ時の力が、骨にダイレクトに伝わらないようにするクッションのような役割もあります。また、矯正治療で歯が動くのは、歯根膜を通して破骨細胞と骨芽細胞を出現させるからです。
一方、インプラントには歯根膜がないため、インプラントを押しても破骨細胞と骨芽細胞は現れません。それに加え、インプラントは一度埋め込むと骨としっかりと固定され、動かせません。
もし、インプラントを先に入れてしまうと、インプラントの位置も考慮して歯並びを整えなければならないので、理想とは異なる歯並びになる可能性があります。そのため、インプラント治療と矯正治療を両方行う場合は、基本的に矯正治療を先に行います。
矯正治療後を予測してインプラントを入れることはできない
「それならば、矯正治療後の歯並びを予測してインプラントを入れればいいのでは?」と思う方もいらっしゃるでしょう。
しかし、矯正後の歯並びを完全に予測し、そこに合わせてインプラントを入れるのは現実的ではありません。なぜなら、矯正治療後の歯並びに適した位置にインプラントを入れようと思っても、その場所には他の歯が移動している可能性があるからです。
また、必ず予測通りに治療が進むとは限りません。矯正治療後の歯並びを予測して事前にインプラントを入れることは難しいのです。
すでにインプラントを入れている場合はどうする?
すでにインプラントが入っている場合でも矯正治療はできます。ただし、以下の点を考慮しなければなりません。
インプラントの位置を考慮した矯正治療計画を立てる
すでにインプラントが入っている場合は、今あるインプラントの位置を考慮して治療計画を立てる必要があります。
前述のとおり、インプラントは動かせないため、埋入しているインプラントの位置を基準とし、最大限に理想に近づけた歯並びを目指して矯正治療を行うのが一般的です。
歯の動きに多少の制限が生じる可能性はありますが、インプラント治療を先に受けていたからといって矯正治療を諦めることはありません。
人工歯の作り替えが必要なこともある
矯正治療によって歯並びが整うと、インプラントの噛み合わせも変わってきます。そのため、矯正治療後の歯並びによっては、インプラントの人工歯(上部構造)の噛み合わせの調整、もしくは作り直しが必要になることもあります。
人工歯の費用は別途でかかるため、事前に詳細を把握しておきましょう。
矯正治療ができないこともある
インプラントの本数があまりにも多い場合や、インプラントの位置、歯並びの状態によっては、矯正治療ができないこともあります。
インプラント治療と矯正治療は同時進行できる?
これも結論から申し上げますと、インプラント治療と矯正治療は同時には進められません。同時進行すると治療計画が複雑になり、予期せぬトラブルが発生する可能性があるからです。
また、どちらも専門性の高い治療方法で、事前にしっかりと治療計画を立ててから治療に進みます。そのため、基本的にはどちらかを終えてから、もう一方の治療を始めることになります。
インプラント治療と矯正治療のどちらも検討している場合の注意点
もし、インプラント治療と矯正治療のどちらも受けたいと考えている場合は、以下の注意点をしっかりと押さえておくことでスムーズに進められるでしょう。
治療開始前に歯科医師に相談する
インプラント治療と矯正治療を同じ歯科医院で受ける場合でも、別の歯科医院で受ける場合でも、必ず治療開始前に歯科医師に両方の治療を希望している旨を伝えましょう。
歯やお口の状態によっては、両方の治療が難しいケースもあります。また、治療が可能かどうか、できる場合はどのような順番で進めるのか確認しましょう。
医院間の連携ができるかどうか確認する
もし、別々の歯科医院に受診する場合は、両医院が連携して治療を進められるか確認しましょう。それぞれの治療計画が独立してしまうと、お互いに悪影響を及ぼし合う可能性があります。
できることなら、インプラント治療を得意とする歯科医師、矯正治療を専門とする歯科医師を選び、連携が取れる歯科医院に受診することをおすすめします。
インプラント治療も矯正治療も行えるインプラントオフィス大通にすべてお任せください
お伝えしてきたように、インプラント治療も矯正治療もまだ着手していない段階であれば、矯正治療を先に始めた方が良いと言えるでしょう。
天然の歯と異なり、一度入れたインプラントは動かすことができないため、矯正治療を行ってから、それに合わせてインプラントを入れる方が歯並びをきれいに整えられます。
もちろんインプラント治療を先に終えている方は、矯正治療ができないかというと、そのようなこともありません。インプラント治療と矯正治療の両方を考えている方は、まずは歯科医院に相談しましょう。
冒頭でも触れたとおり、インプラントオフィス大通では、インプラント治療と矯正治療の両方を行っています。インプラントも矯正も、豊富な知識と治療経験を求められる領域ですが、当院には医療法人社団 千仁会の専門医が多く在籍し、チーム医療による連携の取れた体制で対応することが可能です。札幌でインプラント治療と矯正治療をお考えの方は、インプラントオフィス大通にお気軽にご相談ください。