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コラム

インプラント治療後のトラブルってどんなもの?対処法は?

2024/9/17


これまでもインプラントコラムでお伝えしてきたとおり、インプラントは、本来の歯と同様の噛み心地が得られ、仕上がりも自然で美しいという大きなメリットがあります。

しかし、インプラント治療を受けてから何年も経つと、何らかのトラブルが発生することがあります。インプラントは性能的に大変優れていても、高額なものですから、トラブルに不安を感じる方もいらっしゃるでしょう。

そこで今回は、インプラント治療後に発生するトラブルや、その対処法についてご紹介します。皆さんの不安が少しでも払拭できるよう、わかりやすく解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。

インプラントの構造

インプラント治療後のトラブルを未然に防ぐためには、インプラントの構造を理解しておくことが大切です。これまでもインプラントコラムで解説してきましたが、もう一度おさらいしておきましょう。



インプラントの構造はメーカーによって多少の違いはありますが、以下の3つの部品から構成されています。

  • 人工歯根:インプラント体・フィクスチャー

  • 土台:アバットメント

  • 人工歯:上部構造

インプラント体、別名フィクスチャーは、顎の骨に埋め込まれる人工歯根です。ネジのような形をしており、ほとんどのメーカーでチタンを採用しています。オッセオインテグレーションのコラムでお伝えしたように、チタンは骨と結合する性質があり、埋入後、しばらくするとインプラントと顎の骨が一体化するように固定されます。

アバットメントはインプラント体と上部構造を接続する部品です。高さや角度は調整可能で、歯ぐきの厚みや噛み合わせに合ったものを選択します。アバットメントについては、インプラント治療の縁の下の力持ち!アバットメントの重要性とはのコラムで詳しく解説していますので、併せてご参照ください。

上部構造は人工歯のことです。噛み合わせの強さや周囲の歯の色に合わせて、セラミックやハイブリッド、ジルコニアといった素材が用いられます。

インプラント体のトラブルと対処法

インプラント治療後のトラブルは、大きく分けると、埋め込まれているインプラント体に起因するものと、上部構造に起因するものに分けられます。

まずはインプラント体に起こり得るトラブルと、その対処法を見ていきましょう。

インプラントが抜ける



先ほどご説明したとおり、インプラント治療は、インプラント体と骨がしっかりくっつくことで安定する仕組みになっています。

しかし、インプラント体と骨がしっかり結合できていなかったり、埋入当初は結合できていても、その後緩んでしまったら、インプラントは抜けてしまうことがあります。

【対処法】インプラントを再度埋入する

インプラント体が抜けてしまった場合は、新しいインプラント体をもう一度埋め込みます。

同じ場所に埋められない場合は、少しずらした場所を選んだり、角度をつけて斜めに埋めたりすることもあります。

インプラントがグラグラする



インプラント体と骨との結合が弱いと、インプラントが抜けてしまわなくても、グラグラと動くことがあります。

他に、アバットメントのネジが緩んでいたり、炎症によってインプラント周囲の骨に悪影響が出ている場合も、インプラントはグラグラしてきます。

この状態を放置していると、最終的には抜け落ちてしまうことが多くなります。

【対処法】アバットメントを締め直す、炎症の除去を行う

アバットメントが緩んでいる場合は、再度締め直して対処します。インプラント周囲の骨が減少し、インプラントが安定しない場合は、インプラント体の周りで起きている炎症の原因となるプラークを外科的に取り除きます。また、プラークコントロールを徹底的に行い、骨の回復を図ります。

それでも効果が出ない場合は、先ほどと同様、新しくインプラントを埋め直すことも考えます。

腫れがある・噛むと痛みを感じる



インプラント周囲の歯肉が炎症を起こすと、腫れたり出血したりすることもあります。さらに、骨にまで炎症が広がると、インプラント部分で噛むと痛くなることがあります。

【対処法】プラークコントロール、抗菌薬の投与

インプラント周囲の痛みや出血に関しては、プラークコントロールをしっかり行うと同時に、抗菌薬を処方して炎症を緩和させます。多くの場合は、これで症状を抑えられます。

インプラント周囲炎に注意



詳しくはインプラント周囲炎とその予防法のコラムで解説しましたが、お話ししてきたような、インプラントの歯の周りに炎症が生じたり、インプラントがグラグラする症状が出る場合、インプラント周囲炎の可能性があります。

インプラント周囲炎はインプラントの歯周病です。悪化するとインプラントが抜け落ちてしまうこともありますので、十分に注意しましょう。

上部構造のトラブルと対処法

続いて上部構造に起因するインプラントのトラブルについてお伝えしていきましょう。上部構造に何らかの問題が生じると、次のような症状が現れます。

上部構造の汚れ



人工歯の色は、隣の歯や噛み合わせている歯と比べて色合いに違和感がないように、色見本を使って合わせていきます。できるだけ似た色を選びますので、自然で違和感のない色合いになります。

ただ、長年使用していると着色汚れが付着することがあります。人工歯でよく用いられているセラミック素材は、表面がツルツルしているので、プラークなどの汚れがつきにくいのですが、決してつかないというわけではありません。

セラミッククラウンにプラークや歯石などの汚れがつくと、見た目の色合いが変わりますので、外見に違和感が出てしまいます。

【対処法】人工歯のクリーニング

クラウンに汚れがついて色合いが変わった場合は、人工歯部分のクリーニングによって、セラミックを傷つけることなく元の自然な色合いに戻せます。

上部構造の破損



上部構造にセラミック素材を使用している場合、噛み合わせの確認や調整が不十分だと、噛む力によって、セラミックが欠けたり割れたりすることがあります。

【対処法】上部構造の補修や再製作

セラミッククラウンが欠けた場合は、範囲が小さければ、その部分だけ補修することもできますが、補修材のくっつきが悪いのでなかなか困難です。

欠けた範囲が広かったり、何度も繰り返すようなら、上部構造を再製作することになります。

上部構造が脱落した


上部構造は、ネジで外れないように固定します。

ところが、長年使っているうちに、セメントが溶け出したり、ネジが緩んだりすることがあり、そうなると、上部構造が外れることがあります。

【対処法】再装着・ネジの締め直し

上部構造が外れた原因がセメントの劣化だけなら、もう一度セメントをつけ直します。また、ネジの緩みなら、ネジを締め直すことで、しっかりと装着できます。

上部構造に食べ物が挟まる



歯の側面を隣接面(りんせつめん)といいます。

隣接面は、歯の上から3分の1あたりが最も出っ張っていて、その部分で隣の歯と触れ合うようにしておかないと、食べ物が挟まりやすくなります。

上部構造の隣接面の造形が良くないと、食べ物が挟まりやすいインプラントになってしまいます。

【対処法】上部構造の形状修正や再製作

上部構造にハイブリッド素材を使用している場合は、形状の修正を行うことが可能です。

しかし、セラミックやジルコニアといった素材は、上部構造を外し、作り直しが必要になります。

トラブルが限りなく少ないインプラント治療を目指して



今回ご紹介したのは代表例ですが、インプラントのトラブルはいくつか同時に起こることもありますし、他の症状が出ることもあります。ただ、治療後のトラブルが発生しても、しっかりとした診療体制を持つ歯科医院であれば、対応できることがほとんどです。

トップページでもお伝えしているとおり、インプラントオフィス大通は、札幌・大通で『精密インプラント治療』を提供している歯科医院です。

医療法人社団 千仁会に所属する複数の専門医が症例検討会を行い、最新の設備の下、レントゲンや検査結果を多角的に分析することで、より良い治療計画の立案をし、トラブルの限りなく少ないインプラント治療を行っています。

万が一トラブルが発生しても、豊富な経験と治療経験を活かし、丁寧、かつ柔軟に対応いたします。インプラント治療後の経過で不安なことや、ご質問のある方は、ぜひインプラントオフィス大通にご相談ください。