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コラム

インプラントの普及率~日本と海外の比較~

2024/12/5


歯を失った時の治療法は、日本では保険診療が充実している関係から、ブリッジや入れ歯が選ばれるケースも多くあります。ですので、自費診療のインプラントは、ともすると高級な治療とイメージされ、広く一般的な治療法とまでは認識されていないかもしれません。

日本がそのような状況なので、世界的にもインプラントは普及していないと思われるかもしれませんが、実際はその逆なのです。今回は、日本と世界のインプラントの普及率についてご紹介します。

このコラムを読んでいただくと、世界ではインプラントはメジャーな治療法であり、日本とは実情が異なることがお分かりいただけると思います。

インプラントの普及率

インプラントがどれくらい普及しているのかを、国別で見てみましょう。

インプラント治療数のランキング

これは、インプラントオフィス大通でも採用している、世界的なインプラントメーカーのストローマン社2020年の年次報告で発表したデータに基づいています。

なお、ここでは国ごとに人口が異なりますから、人口10,000人あたりのインプラント数で比較しています。



1位韓国
2位スペイン
3位イタリア
4位ドイツ
5位オーストリア

韓国を筆頭に、ヨーロッパの各国での普及率が高いのがお分かりいただけると思います。1位の韓国は、2位のスペインの2倍近いインプラント治療数を誇ります。

さらに2位のスペインと3位のイタリアでは1.5倍ほど、3位のイタリアと4位のドイツでは1.25倍ほどの差がありますから、美容大国でもある韓国のインプラント治療数が圧倒的に多いことがわかります。

なお、インプラント発祥の地であるスウェーデンは8位、保険診療がほとんどないアメリカは10位にとどまります。

しかし、グラフからも分かるとおり、日本での治療数は14位です。普及率はアメリカよりも低く、実はトップ10にも入っていないんですね。

日本でインプラントが普及していない理由は?

保険診療が充実している



日本の医療の特徴とも言えるのが国民皆保険です。インプラントがなかなか普及しない理由は、日本の保険制度も関係していると考えられます。

保険医療では、全国、どこの医療機関でも、同じ料金で治療を受けられます。治療費のベースは、国によって低く抑えられているうえ、窓口で支払う金額は原則的に3割だけ、場合によっては1ヶ月あたり数百円ということもあります。日本の保険医療制度は、上質な医療を大変安く受けられるのが大きな利点と言えるでしょう。

ブリッジや入れ歯も保険適用



日本の場合、冒頭でも触れたように、歯を失った場合の治療法はブリッジも入れ歯もあります。これらを使えば、どの部分の歯が、何本なくなったとしても対応することができます。

インプラントはブリッジや入れ歯とどう違う?のコラムでもお伝えしたように、インプラントは、ブリッジや入れ歯に比べ、多くのメリットがありますが、基本的に自由診療となります。そのため、インプラント以外の選択肢を選ぶ方も多くいらっしゃるのでしょう。

歯に対する価値観の違い



海外では、「歯がない」というのはもちろんですが、「歯並びが悪い」というだけで、貧困層と見なされることがあります。こうしたことから、社会生活を送る上で、歯がきれいということはとても重要視されています。

海外にもブリッジや入れ歯はありますが、「治すなら、より自然で違和感のない仕上がりを」ということで、ブリッジや入れ歯ではなく、インプラントが選ばれているのではないかと思われます。

一方、日本ではそこまで歯がきれいということを求められてはいません。選挙のポスターでも、銀歯が光っている人もいます。このような歯の価値観の違いも、インプラントの普及率の差として現れている可能性があります。

インプラント治療の歴史がまだ浅い



インプラントの歴史のコラムで詳しく解説しましたが、インプラントは、歯科医療の歴史から見ると、まだ新しい治療法です。歯学部の教育にインプラントが導入され始めたのも、20世紀の終わりです。

高齢の歯科医師はインプラント治療に積極的ではありませんし、その世代が開業歯科医院の多くの割合を占めています。このため、日本の歯科業界全体で見ると、インプラント治療はあまり普及しているとは言えません。

かつての否定的な報道の影響

インプラントについて否定的な報道がなされた時期があります。何年も前の話ですが、インプラントのイメージを悪くさせてしまったため、これも日本でのインプラント普及の足を引っ張ってしまったかもしれません。

世界で普及しているインプラント治療



今回は、日本と海外のインプラント治療について比べてみました。最近ではインプラントの知名度が上がり、インプラントを検討される方が多くなりましたが、世界的に見ると日本のインプラント治療の実績は、まだ及ばないのが実情です。

もちろん、実績で世界一にならなければならないわけではありません。ですが、世界では日本以上に多くの方がインプラント治療を受けており、言い方を変えれば、それだけ実績があるということです。

インプラントオフィス大通の千田理事長は、北海道大学歯学部の臨床教授も務め、多くのインプラントセミナーを開催し、インプラント治療の啓蒙も行っています。豊富な知識と経験を持つ専門医が、インプラント治療を担当いたしますので、札幌 大通でインプラント治療をお考えの方は、ぜひインプラントオフィス大通にお越しください。