一覧に戻る

コラム

妊娠とインプラント治療

2024/12/12


女性の方は妊娠すると、そうでない時と比べて、体の状態に変化が生じます。妊娠中は、お腹の中に赤ちゃんがいるため、体を大切にケアすべき期間です。

そんな妊娠期間中において、虫歯や歯周病治療は、時期を選べば妊娠中でも受けられますが、インプラントはどうでしょうか?

そこで今回は、インプラント治療と妊娠の関係についてご紹介します。

歯科治療と妊娠

はじめに妊娠期間中の歯科治療についてお話ししましょう。

妊娠期は、大きく妊娠初期(13週目まで)・妊娠中期(14週から27週まで)・妊娠後期(28週以降)の3つに分けられますが、このうち、歯科治療に適しているのは妊娠中期だけです。



妊娠初期と妊娠後期には歯科治療は行わないのが基本

まず妊娠初期は、つわりがひどくなる方も多く、歯ブラシを口に入れるのも辛い時期です。また、妊娠初期は、赤ちゃんの器官形成期にあたるため、歯科治療は応急処置にとどめ、治療は避けるのが一般的です。

妊娠後期にはお腹が大きくなり、長時間の仰向けの姿勢が辛くなってきます。 また、妊娠後期は早産の可能性も高まるため、緊急の場合を除いて歯科治療は控えるのが賢明です。

歯科治療を行うなら妊娠中期



妊娠中期は、比較的体調が安定しやすく、歯科治療に適した時期といえます。とはいえ、それはあくまでも初期と後期と比べればの話です。お腹の赤ちゃんへの影響を考えると、長時間の治療や抜歯のような外科処置はなるべく避け、負担の少ない虫歯治療などが中心になります。

妊娠中の歯科治療に関しては、提携医院であるポラリス歯科・矯正歯科の妊娠中の虫歯治療のコラムで詳しく解説しておりますので、併せてご参照ください。

インプラント治療と妊娠

それでは、今回のコラムの本題であるインプラント治療と妊娠の関係について説明します。

インプラントを検討している方や、治療中に妊娠が判明した方は、何かと不安になることもあるかもしれません。お気持ちは重々理解できますので、妊娠時期に応じて、どのような対応になるかを知っておくと有用です。

インプラント治療を始める前に妊娠がわかったら?



インプラント治療は緊急性を持った治療ではありません。妊娠中は、お母さんの体調やお腹の赤ちゃんへの影響を最優先に考える必要があります。

そのため、基本的にはインプラント治療は出産後、体調が落ち着いてから改めて計画するのがベストです。

妊娠中はホルモンバランスが変わり、口腔内のトラブルも出やすくなります。大きな治療が必要にならないように、定期的な歯科検診でお口の状態をチェックしてもらい、虫歯や歯周病の予防に努めましょう。

同じくポラリス歯科・矯正歯科のコラムで、妊娠中に起こりやすい口内トラブルと対策についても解説していますので、興味のある方はご参考になさってください。

インプラント治療中に妊娠がわかったら?



インプラント治療は、オッセオインテグレーションによる、骨とインプラントの結合を待つ必要があるため、治療期間が短くて3ヶ月、長ければ1年弱に及ぶことがあります。その間に、妊娠していることに気づいたり、妊娠したりすることもあるかもしれません。

インプラント治療中に妊娠していることに気づいたら、まずはインプラント治療の主治医に連絡してください。治療を続けるか中断するかは、妊娠時期や治療の進捗状況によって判断が分かれます。

インプラント治療は中断するのが一般的

基本的に妊娠初期は母体も胎児も不安定な時期なので、治療は中断するのが一般的です。この場合、出産して体調が落ち着くまでの期間、入れ歯や仮歯で過ごしていただくことになります。

一方、妊娠が判明した時点で治療が最終段階に近づいている場合は、そのまま治療を続けることもあります。 たとえば、人工歯を装着するだけで治療が完了する場合は、体に大きな負担をかけることなく治療を終えられるでしょう。

ただし、続行するとしても前述のとおり、原則的に妊娠中期です。妊娠初期の段階ではお口のケアを中心とし、妊娠中期まで待つケースが多くなります。

妊娠中にインプラント治療が中断や延期となる理由とは?

レントゲンを撮る回数を減らすため



歯やお口のレントゲン写真では、お腹の赤ちゃんに影響することはなと言われていますが、撮らずに済むならば、その方が良いでしょう。

インプラント治療を受ける前に必要な検査とは?のコラムでもお伝えしたように、インプラント治療では、骨の状態を確認するなど、レントゲン写真を撮影する機会が度々あります。

妊娠中のお口のレントゲン撮影は安全性が高いと言っても、リスクは少しでも減らすことが望ましいと言えます。

つわり(悪阻)の影響を避けるため



個人差がありますが、妊娠初期はつわり(悪阻)により、えずきやすくなる方がいらっしゃいます。インプラントを埋入するには、お口の中で様々な処置を行いますので、つわりでえずいてしまうと、インプラント治療はどうしても難しくなります。

様々な薬剤を使用しないようにするため



インプラント治療は外科処置ですから、麻酔薬、抗菌薬、鎮痛薬など様々な薬剤が必要です。

インプラント治療に使用する薬については、胎児への影響度や授乳中の安全性などがすでにわかっているため、妊娠中は問題が少ない薬を選べば良いのですが、薬を使わないに越したことはありません。

薬を使う機会を可能な限り減らすためにも、インプラント治療は延期、もしくは中断した方が安心です。

無理な姿勢にさせないため



皆さんもご存知のとおり、歯科治療は仰向けの姿勢で行う必要があります。特にインプラント治療は外科手術を伴うため、一般的な治療に比べると、どうしても時間がかかります。

妊娠している方の場合、長時間仰向けになると、赤ちゃんの重さでお腹が圧迫され、血管も圧迫されて血液の流れが悪くなることがあり、これを仰臥位低血圧症候群(ぎょうがいていけつあつしょうこうぐん)といいますが、貧血に似た症状が現れ、ひどい場合は意識を失ってしまうこともあり、大変危険です。

赤ちゃんと母体にとって、無理のない姿勢でいることが大切ですから、仰向けの姿勢はできるだけ避けるようにします。

通院の負担や心理的な負担をなくすため



インプラントは治療が長期に及ぶため、歯科医院に通う回数も必然的に多くなります。妊娠中は通院自体も負担になりますので、インプラント治療は延期する方が良いでしょう。

また、妊娠中にインプラント治療をした場合、「この薬は何か影響しないのか」「レントゲン写真は大丈夫と言われたけど、本当に大丈夫なのか」と、妊娠していればこそ、心配になることも出てくるでしょう。心の悩みはストレスにつながるので、ご自身だけでなくお腹の赤ちゃんにも悪影響になってしまいます。

このような心理的な負担を減らすためにも、インプラント治療は出産を待つ方が安心です。

妊娠を考えた時のインプラント治療計画を



インプラント治療は、失った歯を補うための優れた治療法ですが、妊娠中は少し慎重になる必要があります。

妊娠前にインプラント治療を検討している方は、時間に余裕を持った治療計画を立てましょう。 治療期間を考慮し、妊娠前に治療を完了できるタイミングで始めるのが理想的です。

もし、治療途中で妊娠が分かった場合は、お母さんと赤ちゃんの健康を第一に考え、治療を一時中断し、出産後に再開することになります。中断期間は、仮歯や入れ歯で過ごすことになりますが、適切な処置を行いますので安心してください。

インプラントオフィス大通では、医療法人社団 千仁会の理念に則って、患者さん一人一人に寄り添った丁寧な診療を心がけており、これまで多くのインプラント治療を行ってきました。

「将来、妊娠を考えているけど、インプラント治療はいつ始めればいいの?」「治療中に妊娠したらどうなる?」など、不安や疑問があれば、どんな小さなことでも札幌のインプラントオフィス大通へお気軽にご相談ください。