インプラントオーバーデンチャー
2024/12/18
歯が全てなくなると、そのままでは噛めないので総入れ歯を作ります。総入れ歯については、提携医院であるポラリス歯科・矯正歯科の総入れ歯についてのコラムで解説しておりますので、詳しく知りたい方は、併せてご参照ください。
さて、歯を全て失った場合の助けとなる総入れ歯ですが、特に下顎の総入れ歯の緩さや、噛みにくさで悩む方も少なくありません。そのような方におすすめしたいのが、今回のテーマであるインプラントオーバーデンチャーです。
インプラントの種類の違いについて解説したコラムでも少し触れましたが、今回はインプラントオーバーデンチャーについて、より詳しくご紹介します。
インプラントオーバーデンチャーとは
インプラントオーバーデンチャーとは、インプラントを土台にして装着する入れ歯のことです。
数本のインプラントを顎の骨に埋め込み、その上に入れ歯を覆い被せ、しっかりと固定します。通常の入れ歯と異なり、「外れやすい」「しっかり噛めない」「痛みがある」といったお悩みを軽減できます。
インプラントオーバーデンチャーは、総入れ歯だけでなく、残っている歯の数がとても少なくなった方の部分入れ歯にも応用可能です。
インプラントオーバーデンチャーの種類
インプラントオーバーデンチャーにはいくつかのタイプがありますので、順番に解説していきましょう。
マグネットタイプ
マグネットタイプのインプラントオーバーデンチャーは、2〜4本のインプラントと、入れ歯に磁石を埋め込んで、磁力で固定するタイプです。取り外しやすいうえ、磁力でしっかりと固定できるのが特徴です。
ただしマグネットタイプは、MRI検査を受ける際には、磁石が影響を及ぼす可能性があるため、外す必要があります。また、磁石の力は経年劣化によって弱まることがあり、定期的に磁石の交換が必要になるケースもあります。
ボールタイプ
ボールタイプのインプラントオーバーデンチャーは、2~4本のインプラントを顎の骨に埋め込み、その先端にボール状の突起を取り付けるタイプです。入れ歯側にはこの突起に対応するくぼみがあり、そこにボールがはまることで入れ歯を固定します。
磁石を使わないので、MRIを撮影する際も問題ありませんし、固定力もしっかりしているのが利点です。
ただし、ボールとくぼみの間にわずかな隙間ができるため、マグネットタイプと比べると食べ物が挟まりやすいという難点があります。
バータイプ
バータイプのインプラントオーバーデンチャーは、4~6本のインプラントを顎の骨に埋め込み、それらを金属製のバーで連結するタイプです。入れ歯にはバーに合うように作られたアタッチメントを取り付け、アタッチメントとバーを噛み合わせることで、入れ歯をしっかりと固定します。
マグネットタイプやボールタイプは、インプラントが独立していますが、バータイプはつながっており、インプラントの本数も少し多めです。このため、バータイプのインプラントオーバーデンチャーは安定性がとても高く、マグネットタイプやボールタイプよりしっかり噛めるのがメリットです。
しかし、インプラントの本数が多いため、手術費用や治療期間が長くなる傾向があります。また、口腔内の清掃がしづらくなる場合があり、丁寧なケアが必要です。
インプラントオーバーデンチャーのメリット
インプラントオーバーデンチャーには、以下で挙げるような多くのメリットがあります。
インプラントの本数が少ない
全部の歯を失った場合、全てインプラントで補うとなると、片顎だけで14本ものインプラントが必要で、あまり現実的ではありません。しかし、インプラントオーバーデンチャーは、入れ歯とインプラントを組み合わせる方法なので、必要なインプラントの本数は最小で2本、多くても6本程度です。
埋め込むインプラントの本数が少ないので、インプラント手術の痛みや腫れもそれだけ軽減されます。また、骨の量が不足している場合、以前のコラムでお伝えした骨造成によって、骨の厚さを増やす必要があるのですが、インプラントオーバーデンチャーならば、骨の量が不足している方でも、インプラント治療を受けられる可能性が高くなります。
治療費を抑えられる
上でもお伝えしたとおり、インプラントオーバーデンチャーは、2~6本と少ない本数のインプラントで入れ歯を固定するため、全ての歯をインプラントで治療する場合に比べて、治療費をかなり抑えることができます。
しっかり噛める
先ほど各タイプのインプラントオーバーデンチャーについてお話ししましたが、どのタイプのインプラントオーバーデンチャーでも、インプラントがしっかりと入れ歯を支えるので、安定感がとても高くなります。ガタつきやズレが生じにくく、普通の入れ歯とは比較にならないほどしっかり噛めるのが特徴です。
痛くなりにくい
通常の入れ歯は歯茎で支えるため、歯茎が平らではなく、凸凹していると痛みを感じることがあります。しかし、インプラントオーバーデンチャーはインプラントが支点となるため、歯茎への負担が軽減され、痛みを感じにくくなります。
お手入れしやすい
インプラントオーバーデンチャーは取り外しが可能なため、入れ歯とインプラント部分をそれぞれ簡単にお手入れできます。
修理しやすい
インプラントオーバーデンチャーは、構造が比較的シンプルなので、万が一破損した場合でも、修理がしやすいというメリットもあります。
使っている入れ歯を利用できることも
すでに総入れ歯や部分入れ歯を使っている方は、お使いの入れ歯に手を加え、インプラントオーバーデンチャーにできる可能性があります。
ただし、入れ歯の形や大きさ、噛み合わせによっては難しい場合もありますので、まずは歯科医院で相談しましょう。
インプラントオーバーデンチャーのデメリット
メリットの多いインプラントオーバーデンチャーですが、デメリットがないわけではありません。こちらも確認しておきましょう。
保険診療の対象外
インプラントオーバーデンチャーは、インプラント部分だけでなく、入れ歯部分も保険診療の対象外です。
保険診療で製作できる入れ歯は、自己負担額も3割までと抑えられていますが、インプラントオーバーデンチャーは全額自己負担となります。そのため、保険診療の入れ歯と比べると、費用は高額になります。
外科処置が必要
通常の入れ歯は、基本的に歯茎の型を取るだけで製作できます。一方、インプラントオーバーデンチャーは、インプラントを埋め込むことを前提としているので、外科手術が必要になります。
通常の入れ歯より治療期間が長い
普通の入れ歯治療は、4~5回ほどの工程で作られるので、1ヶ月半程度で完成します。
一方、インプラントオーバーデンチャーは、オッセオインテグレーションによるインプラントと骨の結合を待たなければならないので、治療期間が数ヶ月~半年と長くなります。
お使いの入れ歯にお悩みなら、インプラントオーバーデンチャーは有力な選択肢に
今回お伝えしたように、インプラントオーバーデンチャーは、2~6本のインプラントを土台にして入れ歯を固定する治療法です。インプラントの本数を抑えつつ、入れ歯の弱点である安定性を高め、しっかり噛めるようにしているのが最大の特徴です。
もちろん、通常の入れ歯とは異なり、外科手術が必要であったり、治療期間が長くなるといった難点もあります。しかし、インプラントオーバーデンチャーは、通常の入れ歯よりもしっかりと噛むことができ、安定性も高く、多くのメリットがあります。現在ご使用の入れ歯の使用感に悩んでいる方には、有力な選択肢の一つになるでしょう。
インプラントオーバーデンチャーは、全ての歯を失った方はだけでなく、部分的に歯を失った方にも適応できるケースがあるので、今回のコラムをお読みになって、インプラントオーバーデンチャーに興味を持たれた方や、ご質問などがある方は、ぜひ一度札幌のインプラントオフィス大通にご相談ください。