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コラム

頬骨を利用したザイゴマインプラント

2024/12/23


上顎の歯を失った場合、インプラント治療を希望される方もいるでしょう。しかし、上顎の骨は、下顎の骨と比べて骨の量が少なく、インプラントを支えるのに十分な厚みや高さがないことがあります。

そのような時にインプラントを可能にするのが、頬骨を利用したザイゴマインプラントという方法です。今回は、ザイゴマインプラントについて、適応症やメリット・デメリットについて紹介します。

ザイゴマインプラントとは?



ザイゴマインプラントは、顎の骨ではなく頬骨(ほっぺの骨)にインプラントを埋め込む治療法です。英語で頬骨はzygomatic bone(ザイゴマティック ボーン)といいます。ザイゴマインプラントの名前は、ここから来ています。

ザイゴマインプラントと通常のインプラントとの違い



一般的なインプラントは顎の骨にインプラントを埋め込むのに対し、ザイゴマインプラントは頬骨に埋め込むという点が大きく異なります。頬骨を利用することで、骨の量が不足していても、人工歯を安定して支えることが可能になります。

さらに、ザイゴマインプラントは、コラムでもご紹介したオールオン4という治療法と組み合わせることが多くなります。オールオン4(All-on-4)とその8つの利点でもお話ししましたが、オールオン4とは、4~6本のインプラントで上顎全体、もしくは下顎全体を覆う人工歯を支える方法です。 インプラントで支えられた入れ歯のようなものと言えるでしょう。



顎の骨が薄い場合、4本のインプラントだけでは人工歯をしっかり支えるのが難しいことがあります。そのような場合に頬骨を利用することで、安定した固定力を得られるというわけです。

ザイゴマインプラントの適応症

以下のような条件に当てはまる方が、ザイゴマインプラントの治療対象となります。


  • 上顎の歯を全て失っている

  • 顎の骨の量が少ない

逆に、まだ歯が残っている方や、骨の量が十分にある方は、通常のインプラント治療で対応できるため、ザイゴマインプラントの対象外となります。

ザイゴマインプラントのメリット

では、ザイゴマインプラントを使用するメリットについて、具体的にお話ししていきましょう。

骨造成を避けられる



骨の厚みが足りない場合、通常、骨造成(こつぞうせい)という処置を行います。これは、上顎洞(じょうがくどう)の底に人工骨を埋め込み、骨の厚みを人為的に確保する方法です。

骨造成については、インプラント治療における骨造成(骨増生)とはのコラムで詳しく解説しておりますので、併せてご参照ください。

骨造成は骨の厚みを増やすので、処置を行うための時間もかかり、治療後の腫れや痛みも出やすいケースもあります。しかしザイゴマインプラントなら、骨造成を行うことなく、インプラントを埋め込めるのです。

治療期間が短くなる



骨造成を行った場合、人工骨が落ち着くまで、しばらく養生の期間を設けています。その期間は個人差はありますが、インプラントを埋め込むまでに6ヶ月程度、その後、インプラントが骨と結合するまでさらに6ヶ月程度、合計1年以上かかることもありました。

しかし、ザイゴマインプラントは骨造成が不要なため、養生の期間が必要ありません。その日のうちに仮歯を装着できるので、治療した日に噛めるようになります。

固定式の歯になる



全ての歯を失った際に用いられる入れ歯は、食事の時はつけて食後は外して洗う、また、寝る前に外して朝起きたらつける、というようにつけたり外したりして使います。

ザイゴマインプラントに組み合わせるオールオン4は、インプラントに固定するため、取り外すことはしません。そのため、使用感に優れています。

ザイゴマインプラントのデメリット

もちろんザイゴマインプラントにもデメリットはあります。こちらも確認しておきましょう。

治療の難易度が高い



ザイゴマインプラントは、通常のインプラント治療に比べて難易度が高い手術となります。まず、ザイゴマインプラントは、長さが30mm以上のものが使用されます。これは通常のインプラントの2倍以上の長さです。

また、頬骨はお口の中から直接見ることができず、頬骨の近くには上顎洞という空洞があります。詳しくは上顎のインプラントが難しい理由のコラムで解説しましたが、この上顎洞を傷つけないように、長いインプラントを斜めに埋め込む必要があるため、治療の難易度は高くなります。

費用がかかる



ザイゴマインプラントで使うインプラントは、通常のインプラントとは異なり、特殊な形状になります。

また、治療が難しいということに加え、治療時間も長くなるので、一般的なインプラント治療と比べると、治療費が全般的に高くなってしまいます。治療を受ける前に、費用についても確認しておきましょう。

上顎洞炎のリスクがある



ザイゴマインプラントを埋め込む際、上顎洞を傷つけてしまうと、上顎洞炎という症状を引き起こす可能性があります。

上顎洞炎になると、鼻詰まりや鼻水、頭痛などの症状が現れることがあります。上顎洞炎のリスクを下げるためにも、ザイゴマインプラントによる治療を行う際は、しっかりと検査を行い、熟練した歯科医師が担当してくれることがポイントになります。

ザイゴマインプラントによる治療を行える歯科医院は限られる



ザイゴマインプラントは難易度が高いので、どの歯科医院でも受けられる治療ではありません。

ザイゴマインプラントに対応した歯科医院を見つけるのが難しいというのも、デメリットの一つと言ってもいいでしょう。

インプラントオフィス大通は難易度の高いインプラント治療にも対応します



今回お伝えしたように、ザイゴマインプラントは、上顎骨の骨が薄く、通常のインプラントでは対応できない方のために開発されたインプラント治療法です。

オールオン4と組み合わせることで、骨造成を行うことなく、しかもその日のうちに噛めるようになるのが大きな利点と言えるでしょう。

ただし、治療の難易度が高く、どこの歯科医院でも受けられるというわけではないという難点もあります。

インプラントオフィス大通は、北海道大学歯学部臨床教授も務める千田理事長が率いる医療法人社団 千仁会に所属し、インプラント治療の知見と経験が豊富な専門医が多く在籍しています。

上顎の骨が薄く、通常のインプラント治療が難しいと診断された方でも、最新の設備の下、安心して治療を受けられる体制を整えておりますので、札幌 大通でインプラント治療をお考えなら、ぜひ一度インプラントオフィス大通にご相談ください。