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コラム

その頭痛、もしかしたらインプラントが原因?

2025/3/5


虫歯や歯周病などで歯を失ってしまった場合、インプラント治療は、お口の機能を回復するための有効な選択肢の一つです。

ただし、これまでインプラントコラムでお伝えしてきたように、インプラント治療にはメリットだけでなく、デメリットもあります。手術を伴うため、術後の腫れや痛みは比較的知られていますが、まれに、インプラント治療が原因とはすぐには気づきにくい、意外な副作用が現れることもあります。その一つが頭痛です。

今回は、あまり知られていないインプラント治療と頭痛の関係について解説します。治療を検討されている方はもちろん、すでにインプラント治療を受けた方も、ぜひご自身の状況と照らし合わせながら参考にしてみてください。

歯科と頭痛の意外な関係



頭痛は、お口や顎の不調、つまり歯科疾患が原因で引き起こされることがあることをご存じですか?

私たち歯科医師は「歯医者」と呼ばれていますが、実際には、歯だけを診察しているわけではありません。お口の周り、専門的には、口腔顎顔面領域(こうくうがくがんめんりょういき)を対象に治療を行っています。

日々の診療で、多くの患者さんが様々な症状を訴えられますが、中には歯医者が治療対象とする病気が原因で生じる頭痛も少なくありません。

歯科疾患が頭痛を引き起こすメカニズム



口腔顔面領域は、顎の関節や咀嚼筋(そしゃくきん)をはじめとする筋肉、感覚を司る神経が複雑に絡み合っています。

特に、歯やお口の周りの粘膜の感覚をつかさどる神経は、脳から枝分かれしているため、お口の中に不調が生じると頭痛として感じられることがあるのです。

では、具体的にどのような歯科疾患が頭痛の原因となるのでしょうか?いくつか例を挙げてみましょう。もしかしたら、あなたも思い当たるものがあるかもしれません。


  • 顎関節症

  • 歯の炎症(神経の炎症や根っこの炎症)

  • 三叉神経痛(さんさしんけいつう)

  • 歯性上顎洞炎(しせいじょうがくどうえん)

  • 咬合の異常

  • インプラントなどの外科的侵襲に伴うもの



例えば、顎の関節に何らかの障害が起こると、関節の動きが悪くなり、お口の周りの筋肉にも異常が生じやすくなります。お口周りの筋肉には、頭の骨に付着しているものもあり、このような筋肉に痛みが生じると「頭が痛い」と感じることがあるのです。

また、歯の神経に強い炎症があった場合でも炎症の程度によっては、神経の根元に近い部分まで痛みが伝わり、頭痛として認識されることがあります。

歯科と一見関係がないように思えるかもしれませんが、歯科疾患が原因で頭痛が引き起こされることもあります。慢性的な頭痛に悩んでいる場合、歯科医院での診察も選択肢の一つとして検討してみましょう。

インプラント治療で頭痛が起こる理由

冒頭でお話ししたように、インプラント治療が頭痛を引き起こすことがあります。インプラントが原因になることがあると言うと、意外に思われるかもしれませんが、実際に治療後に頭痛を訴える方や、以前からあった偏頭痛が悪化してしまう方がいらっしゃいます。

日常的に頭痛に悩まされるのは、誰にとっても辛いことですよね。ではなぜ、インプラント治療後に頭痛が起こることがあるのでしょうか?考えられる理由をいくつかご紹介します。

噛み合わせが変化するため



まず一つ目は、噛み合わせの変化です。顔や首の周りには多くの筋肉があり、それらが複雑に連携して咀嚼(そしゃく)運動を支えています。

インプラント治療によって噛み合わせが変化すると、これまでとは異なる筋肉を使うことになるため、筋肉に過度な負担がかかって緊張し、凝り固まってしまうことがあります。

この筋肉の緊張や凝りが周囲に広がり、頭痛として症状が現れることがあるのです。

副鼻腔に炎症が起きるため



二つ目の理由に、副鼻腔の炎症が挙げられます。上顎にインプラントを埋入した際に、この炎症が起こりやすい傾向があります。鼻の奥には上顎洞(じょうがくどう)と呼ばれる空洞があり、インプラント手術の際に器具が触れたり、骨を削る影響で炎症が起きることもあります。

上顎洞については、上顎のインプラントが難しい理由のコラムで解説していますので、興味のある方は併せてご参照ください。

さらに、副鼻腔の一つである前頭洞(ぜんとうどう)にまで炎症が及ぶと、眉間のあたりにズキズキとした痛みが生じ、それが頭痛として感じられることがあるのです。上顎洞と前頭洞は鼻腔とつながっているため、炎症が広がりやすい構造になっています。

顎の痛みや鼻詰まりが現れることも

上でお話しした頭痛の原因により、顎の痛みや鼻詰まりといった症状が現れるケースもあります。

顎の痛み



インプラントによって噛み合わせの高さが変わることをお話ししましたが、それによって顎の痛みを訴える方もいらっしゃいます。

人間の体は非常に繊細で、数ミリ単位の噛み合わせのずれも敏感に察知します。噛み合わせの高さがわずかに変化するだけでも、顎の筋肉にかかる負担は大きく変わってきます。

そのため、インプラント治療後の噛み合わせの変化が、顎の筋肉に過剰な緊張を与え、痛みにつながることがあるのです。場合によっては、噛み合わせの変化が大きすぎて、全く噛めなくなってしまうケースもあります。

鼻詰まり



先ほど、上顎洞は鼻腔とつながっているため、上顎の奥歯部分にインプラントを埋め込む際、上顎洞に炎症が生じることがあるとお話ししましたが、この炎症が鼻腔にまで広がることで、鼻詰まりの症状が現れることがあります。

リスクを知って、信頼できる歯科医院でのインプラント治療を



インプラント治療後に頭痛が生じるのは、噛み合わせの変化や副鼻腔の炎症など、様々な原因が考えられます。顎の痛みや鼻詰まりといった、他の副作用も起こりうることを知っておきましょう。

インプラント治療は、その後の生活の質を大きく左右する可能性がありますので、インプラント治療を考えている方は、まずカウンセリングを受けて慎重に判断することが大切です。信頼できる歯科医師とよく相談し、納得のいく治療を受けましょう。

インプラントオフィス大通では、充実した設備の下、医療法人社団 千仁会の経験豊富な専門医がインプラント治療を担当しています。

トップページでもお伝えしているとおり、治療の精度を高め、患者さんのリスクを最小限に抑えるために、複数の歯科医師がそれぞれの専門知識を持ち寄り、治療計画を多角的に検討するインプラント症例検討会も実施し、より安全な治療を目指していますので、札幌でインプラントをお考えの方は、インプラントオフィス大通に安心してご相談ください。